”キーワード”

個人が持つ経験や考えがそれぞれに違うように、
その人自身のアイデンティティや属性も人それぞれに異なります。
各々について知る際に、またはその人のストーリーを紹介する際に、
性のあり方について正しい情報をもとに取材や発信ができるよう、
ここでは、ジェンダーやセクシュアリティ、ロマンティック、
社会的に議論されているトピックについて、
より深く理解するために必要な知識をキーワードで紹介していきます。
*随時更新予定

  • AFAB/AMAB

    AFAB/AMABはそれぞれ“assigned female at birth” “assigned male at birth”の単語の頭文字をとった省略表記。出生時の性に女性を割り当てられた人/出生時の性に男性を割り当てられた人を意味する。

  • アウティング

    意図的か無意識かに関わらず、同意なしに他人の性のあり方を勝手に言いふらすこと。「カミングアウト」を強制するような行為も含まれ、ときに人の命を奪う。本人が伝えている/伝えていい範囲の確認が必要不可欠。

  • アセクシュアル(Aセクシュアル) / アロマンティック(Aロマンティック)

    相手の性別や自分の恋愛感情の有無に関わらず、どんな性のあり方の人に対しても性的欲求を感じない性的指向のこと。性的欲求を感じる場合はあるが、恋愛感情を抱かない人はアロマンティックと呼ばれる。「人間は恋をするもの」「キスやセックスは好きな人とするもの」という風潮が当たり前とされがちな社会であるが、他人に対して性的欲求を抱くことが少ない、またはまったく抱かないという人もいる。アセクシュアルの人のなかには、相手に対して恋愛感情はあるが性的欲求は抱かない人(ロマンティック・アセクシュアル)もいれば、恋愛感情も性的欲求も抱かない人(アロマンティック・アセクシュアル)もいる。

  • 異性愛規範(ヘテロノーマティビティ)

    誰もが異性愛者であり、恋愛や性的な行為、結婚は男女間で行われるのが「ふつう」だという社会規範のこと。日本社会では、2024年現在婚姻の平等が実現できていないことも含め、「ヘテロセクシュアル(異性愛者)であることが当たり前」「異性を愛して異性と結ばれることこそが幸せ」という規範や思い込みがまだまだ存在している。例えば、「恋愛」「結婚」の言葉で表現されることのほとんどが「男女」の組み合わせであるように、あらゆるところにヘテロノーマティヴィティは根付いており、学校や職場、病院など、公共の施設等で当事者が話題に困ったり、アウティングを迫られてしまう可能性を孕んでいる。

  • Xジェンダー/ノンバイナリー

    性自認が性別二元論に当てはまらない人。男女どちらでもない、男女どちらでもある、あるいはどちらでもない・当てはめたくないといった認識を抱く人々のことを指す。Xジェンダーは主に日本のみで使われている言葉だが、どちらの言葉を使うかは当人次第。その人が使用する言葉を用いましょう。

  • カミングアウト(クローゼット)

    自分の性のあり方を本人の意志で他者に伝えることを「カミングアウト」、公表していない状態を「クローゼット」と呼ぶ。LGBTQ+コミュニティの中で浸透・定着した言葉。

  • クィア

    男/女という従来定義されてきた二元的な性のあり方や異性愛(ヘテロセクシュアル)に当てはまらない人、当てはめられない人々のこと。既存の性のカテゴリに当てはまらない、当てはめられない人々の総称としても使われている。クィア(Queer)とはもともと「風変わりな」「奇妙な」という意味がある。性自認・性表現に関しては「男/女」恋愛に関しては「異性愛」が主流でそれ以外への理解がなかった時代に、性的マイノリティの存在を蔑む言葉として使われてきた歴史があるが、現在では当事者が自分たちの意思で逆手に取り、連帯の合言葉として活用してきたことで、ポジティブな意味としても使うようになっている。

  • クエスチョニング

    自分のジェンダーやセクシュアリティに疑問を持ち、それについて考えている状態であったり、明確に定義したくない人のこと。ジェンダーやセクシュアリティに関する定義や言葉で、自分をどんなふうに自認するのか、あるいはどこにも当てはまらないのかを探る過程は人それぞれであり、そのタイミングにも個人差がある。

  • ジェンダーバイアス

    性別にもとづく役割やイメージを決めつける固定観念や偏見のこと。「男性だからいい企業に勤めて出世すべき」「女性だから家事や育児をするべき」「男性が弱音を吐くなんて女々しい」「男らしく/女らしくふるまうべき」など、ジェンダーバイアスは社会のあらゆる場面に根付いており、時に使う側が褒め言葉として発言したり、無意識だったりすることも多く事例として挙げられる。例えば、男性が身だしなみを整えていると「女子力が高い」としたり、女性がビジネスにおいて成果をあげると「女性だけどすごい」と一見褒めているような言葉も、「男性 / 女性はこういうものだ」という固定観念が前提になっている。これらの偏見や固定観念は自分自身や他者に対して「こうあるべき」の概念を課してしまう可能性がある。

  • シスジェンダー

    出生時に割り当てられた性別と性自認が一致する人のこと。

  • シスジェンダー規範(シスノーマティビティ)

    生まれた時に割り当てられた性別と性自認が一致していることが「ふつう」だとする社会規範のこと。
    シスジェンダー(生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致している状態)が「ふつう」であると思い込みがちだが、このような規範的な思い込みは、トランスジェンダーやジェンダークィア、ノンバイナリーなどの人たちの存在が「ない」かのような扱い、傷つけるような偏見・固定観念の払拭の障壁となる。

  • 出生時に割り当てられた性 (戸籍上の性別)

    身体的な特徴に基づいて割り当てられ、戸籍に記載される性別のこと。日本の法律上では「男」「女」の表記しか存在しないため、男/女以外の性自認の人たちが公的な場(役所や病院など)を利用する際のハードルが多く存在する。

  • 性自認

    自分自身が認識する性のこと。出生時に割り当てられた性別とは関係がなく、流動的な場合もある。社会との関係性の中で形成されていく「帰属意識」。生まれた時に割り当てられた性別と自分自身が認識・実感する性別に違和感を抱いたり、異なる人、変化していく人、どちらか決められない人もいる。

  • 性的指向

    どのような性のあり方の人に性的に惹かれるか(または惹かれないか)性愛の向かう相手・向け方のこと。「嗜好」「志向」は間違い。異性愛者を意味する「ストレート」「ノーマル」などの言葉には、異性愛を基準にその他の性的指向を“普通ではない”とみなす意味合いが含まれるため「ヘテロセクシュアル」という言葉を使用する。

  • 性同一性

    ある時点での性に関する自分自身の認識は、本人の変化(成長)、置かれた状況、他者との関係の中で持続したり変化する。このような性自認の連続体を「性同一性」という。割り当てられた性別と自認する性別が同じであるという意味ではない。

  • 性別二元制

    現在、社会の多くの施設やサービス、商品が「男性用」「女性用」の2つににおいてはほとんどの施設やサービス、商品が主に「男性用」「女性用」を前提につくられており、それがジェンダーバイアス(性別にもとづく役割を決めつける固定観念や偏見)を生み出すことに繋がることもある。

  • 性別不合(旧:性同一性障害)

    出生時に割り当てられた性と性自認が一致しない状態。精神疾患の診断・治療に主眼を置く「 医学モデル 」 に基づき「性同 一性障害 」と呼ばれてきたが、世界保健機構(WHO)が作成する国際疾病分類では2019年に 「性の健康に関する状態」を表す「性別不合」 に変更された。日本学術会議は2020年に、従来の医学的な 理解から性自認のあり方を尊重する「 人権モデル 」 へと考え方を転換させ、脱病理化をめざすことを提言している。

  • SOGI/SOGIE

    「性的指向(Sexual Orientation)」「性自認(Gender Identity)」「性表現(Gender Expression)」の頭文字をとった総称。自身の性のあり方を認識し、誰もが自分ごととして捉え、性の多様性を認め合う上で重要な概念。

  • DSDs (Differences of Sex Development)

    生物学的な意味でのからだの性の様々な発達。「『これが女性の身体の構造・これが男性の身体の構造』とされている固定観念とは、生まれつき一部異なる体の状態の女性・男性」のこと。医学的には「性分化疾患」、一部の欧米の政治運動では「インターセックス」とも呼ばれているが、現実の当事者の人々はそのような包括用語をアイデンティティのようにされることを拒否しており、「アンドロゲン不応症」や「ターナー症候群」など身体状態を「持っている」と認識している。「両性具有:男でも女でもない性」「男女区別がつかない人」「男女両方の特徴」「からだと性は区別できない」という誤解・偏見があるが、そのような表現は現在では侮蔑的表現とされている。

  • デッドネーミング

    本人が使用しなくなった名前(戸籍上の名前等)を本人の合意なく使うこと。トランスジェンダーやノンバイナリーの人の中には、出生時につけられた性別を示唆するような名前を伏せ、通称名を使用、あるいは戸籍上の名前を改名するケースも少なくない。

  • トランスジェンダー

    出生時に割り当てられた性別と性自認が異なる人のこと。性別二元論に当てはまらない性自認の人も含まれる。医療用語の「性別不合(旧:性同一性障害)」とは異なる。性別適合手術やホルモン治療を受けるかどうかは本人の意志で決めることであり、「トランスジェンダー」を見分けるための基準ではない。

  • ヘテロセクシュアル

    異性に性的欲求を感じるセクシュアリティのこと。性的欲求ではなく、恋愛感情の場合はヘテロロマンティックと呼ばれる。現在の社会では異性愛者がマジョリティとされているが、「異性」の定義は生まれた時に割り当てられた性別が相手/自身の性別と異なる、という意味だけではなく、性自認や性表現において「異性」と呼ぶ場合もある。性のあり方自体はグラデーションであることを踏まえ、相手の性のあり方を捉えることが重要とされている。

  • ミスジェンダリング

    意図的か無意識かに関わらず、ある個人を指したりその人と接したりする際に、本人が自認するジェンダーと異なる取り扱いをすること。ミスジェンダリングをなくそうとした結果、アウティングしてしまうことがあるため、本人にどう呼ばれることが安心できるかの確認が必要。

  • 恋愛的志向(ロマンティック)

    どのような(性のあり方の)相手に恋愛的な魅力を感じるか、あるいは感じないか、恋愛感情が向く対象・向け方のこと。誰かを好きになるステップや関係性の築き方は人それぞれであることが前提であり、性的魅力と恋愛的な魅力は必ずしも一緒ではない。例えば、直感的に他者に恋愛感情を抱く人もいれば、時間をかけて恋愛感情に変わる人もおり、また、恋愛感情が生まれたとしても性的な行為をしたいかどうか、その対象となるかどうかは別である。

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